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栂池高原スキー場
(2010年2月11、12日)
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1日目は前日降った雨でコースはガサガサの雪で、氷の塊なんかもあったりして、滑りづらいことこのうえなかった。
しかも、午後からはみぞれ混じりの天気になり、湿度も高かったと見えて眼鏡とゴーグルがダブルで曇り、しかも霧まで出てきてまったく前が見えないという3重苦。 (XX)ダメだこりゃ。
この栂池スキー場では、外人の姿がやたらと目についた。スキー客はもちろんのこと、レストランの店員や、リフトの係員まで外国人がやっているのだ。 レストランで働く外国人の若者にどこから来たのか聞いてみたら、イギリス、アイルランド、オーストラリアだった。こういうところで働いてもらって、国際親善を図るのはいいことですな。
天候もよくなかったので、初日は早めに切り上げて宿へ。
泊まったのは、ホテルニューベルニナ。
リフト券と格安レンタル付きのプランでネットで予約したのだが、とにかく安い。信じられんくらいに安いのだ。 しかし、現地に行ってみて、そして部屋に入ってみて、安いのはある意味納得した。
( ̄〜 ̄)うーん、こりゃ完全にはるか昔に建物の償却終わっちゃってるな。
とは言いつつも、こういう雰囲気も子供の頃の楽しいスキー旅行を思い出させる「三丁目の夕日」的な良さがある。
ところが、学生さんのスキー旅行と一緒になっちゃったもんだからたまらない。
もう夜遅くまで ヒューヒュー♪ ヒャーヒャー♪ ドンパタ ドンパタ! 壁は薄いしもうそりゃ大騒ぎさ。 ( ̄〜 ̄)オレも若い頃はあんなだった(実は今でも)。懐かしいから許す。
2日目。昨晩雪が降ったようで、今度は前日と打って変わって新雪の素晴らしいコンディションとなった。しかし、結局2日間とも一瞬たりとも青空を見ることはなかった。
2日目の午後。昼食を家族で食べて、もう一滑りして帰ろうかということで私と長男はスキー、女子組はスノボへ。
リフトに乗ると、場内のアナウンスが入った。どうやら昨晩からの降雪で閉鎖されていたスキー場最上部の上級コース、「馬の背コース」の整備が終わって、滑れるようになったらしい。すると、
「パパ〜、1人で馬の背コース行って来たら?」
なんと、長男が気を利かしてそう言ってくれた。
そうだなあ、じゃあ最後の1本ということで、お言葉に甘えて行かせていただくとするか。お前も機転が利くようになった。
長男にはカミさんたちと一緒に滑るように言って、私は山頂行きのゴンドラへと向かった。
さてと、じゃあゴンドラに乗せてもらうか・・・と、私の番になって乗り込もうとしていると、スタスタと女の人が後ろからやってきて横に並び、先に乗ってしまった。
図々しいやっちゃなと思ったが、混んでるわけじゃないからまぁいっか。
6人乗りのゴンドラに、この女性と私の2人。
ゴンドラが動き出すと、女性はキョロキョロとしきりに外を見回している。
落ち着かない人だなと思ってふと見ると、女性は外国人だった。
白人の年配の女性で、50歳台くらいだろうか。青緑色のワンピースのウェアに、ヘルメットをかぶっている。
ここでまた、私の好奇心がムクムクと頭をもたげてきた。大して英語も話せないくせに、好奇心が抑えられないのだ。
「どこの国の方ですか?」
と日本語で聞いてみたが、キョトンと、わからないという顔をして、両手の手のひらを上に向けている。
英語で聞きなおす。すると、、、
「プラーク」
と、おっしゃる。
「・・・プラーク?」
なに?プラーク?どこの国のことだ?おそらくヨーロッパ人だと思うが、ポーランドのことかな。
プラークという言葉で私のアタマの中の辞書にあるのは、「歯垢」という意味だけなのだが。
今度はこちらがキョトンとする番になり、しばし沈黙。
するとオバサマが聞いてきた。
「あなたはどこの人なの?」
「日本人ですよ(パキスタン人みたいなツラしてますが)。」
「トウキョウ?」
「ええ、そうですよ」
そしてしばし間をおいたのち、
「私はチェコよ」
と言った。
・・・ああ! そうか!! プラークとは・・・
「プラハ!」
「そうよ、ぷ・ら・は(笑)」
チェコの首都のプラハは、地元の読みではプラークと言うのだな。「プラハの春」じゃなくて、「プラークの春」。
「ニセコでは雨なんか降ったことないのに、ハクバ(白馬。ここ、栂池スキー場のこと)に来てここ2、3日は雨でひどかったのよ」
そう、ここ数日は確かに暖かかった。そのせいでこのあたりも雨だったのだろう。前日もみぞれが降っていたし。
どうやら日本には何度もスキーをしに遊びに来ているらしい。
そしてここから、私が少しは英語がわかると見たこのチェコオバサマの、怒涛の質問攻撃が始まった!(オレは別に英語が話せるわけじゃないっちゅーの)
「あなた、ヨーロッパに行ったことはある?」
「ありません」
「あらそう。スイスはとてもいいわよ」
「オバサマはスイスには行かれたことはあるのですか」
「もちろん」
ヨーロッパには是非行ってみるべきだと勧められた。
「どこか日本でいいスキー場はご存知?」
「うーんと、そうですね、苗場なんかいいと思いますけど」
「ナイバ?」
「な・え・ば」
「ナ・エ・バ!」
「そうです。苗場です。とても広くていいスキー場ですよ」
「ここから近い?」
「近いですよ。となりの県、新潟にあります」
新潟のことは知らない様子だった。
「ナエバとハクバの標高の差はどうなの?」
「まあ同じようなもんだと思いますよ」
「ナエバは広いの?」
「ええ、結構広いですよ」
「ハッポー(八方尾根)くらい?」
「そうですね、八方くらい広いです」
「ハッポーとハクバの高さって違うのかしら?」
「いや〜、おんなじようなもんだと思いますよ」
「ニセコとハクバはどっちが高いのかしら?」
「同じくらいだと思いますけど(後で気づいたが、白馬のほうがずっと高い)」
「でもニセコでは、全然雨なんか降ったことないのに、ハクバは雨でひどいわ」
「標高は同じでも、ニセコは北にありますからね」
そういうと納得した様子だった。
「ホントにここに来てからずーっと雨でひどかったのよ。ウェアもびしょびしょで・・・」
すると、チェコオバサマは私のスキーウェアをつまんで聞いてきた。
「このウェアは、ウォータープルーフ(防水)なの?」
「ええ、そうですね」
「完全にウォータープルーフ?」
「う〜ん、まあそうですね」
「どんなに雨が降っても大丈夫?」
「どしゃぶりを試したことはないですけど、水は通さないと思いますよ」
よほど雨にたたられたのだろう。防水のウェアがとても気になる様子だった。
「あなたはそのウェアはどこで買ったの?」
「東京ですよ。でも古いモデルだったので、2万円で買えました」
「あらそう。とてもいいデザインね。いつ買ったの?」
「2年前ですかね」
「ハクバでも売ってるかしら?」
「白馬はわからないですけど、東京ならお店はいっぱいありますよ」
「ハクバとトウキョウなら、どっちで買うのがいいかしら?」
「そりゃ東京のほうがお店もいっぱいあるし安いと思いますよ。まあ私のは古いから安かったんですけど」
「じゃあ4、5万出せば買えるかしらね」
「そうですね」
チェコオバサマは私のウェアの素材がとても気になる様子。
「あなたのは、ウォータープルーフなのよね?」
「(そうだっちゅーの)はい、そうですよ」
「どんっなにすごい雨が降っても、まーっったく一滴も水は通さない、 完全無欠で完璧防水のウォータープルーフなのよね!?」
(XX)そうですってば。
確かに、オバサマの着ているウェアは年季の入ったもののようだ。
「オバサマのウェアはレンタルですか」
「ううん、このウェアは私の。もうず〜と使っているのよ。でもそろそろ新しいウェアが欲しいわ。ウォータープルーフの。少しくらい値段が高くてもいいから、質のいいウェアが欲しいのよ。あなた、トウキョウで高品質のウェアを売ってるスポーツショップ知らない?高くてもいいのよ」
「うーん。まあどこのお店もちゃんとした物を置いてるはずですから、品質はどこのお店でも問題ないはずですけど、ビクトリアとか、石井スポーツとかが有名ですかね」
「VICTORIA & ISHII ね! わかったわ。ところでね、このヘルメット、今年買ったんだけど、これは濡れないしいいわ」
「重くないですか」
「ええ、全然。とっても軽くていいわよ。でも私はウォータープルーフのウェアが欲しいのよ(笑)。でもまた来年来たときね」
と、そんなに話すつもりはなかったのに質問攻めにあって延々と会話するハメになった。言ってることなんて、中学生英語の語彙で十分です。
ゴンドラ山頂駅で降り、ちょっと離れたところから
「ハバナイスホリデー!」
と声をかけると、
「センキュー!」
と答えがあった。
そして、更にスキー場最上部へと向かうリフトへ。
リフトを降り、馬の背コースへ。
やっと来た。まったく人影はない。
ほほぅ、前日降った雪で、急斜面がコブ混じりででっこんぼっこんになっている。
では、い〜ぐぞ〜!
いち! にの! さん!
わ〜!っとっと!
どっか〜ん!
どぅわ〜! お約束のすっころび!! 新雪が舞うこと舞うこと。
1回転んだが、思ったよりちゃんと滑れたな。オリンピック選手のモーグルのようにはいかないけど。今回借りたのは150cmの短めのスキー板で、短くて取り回しがよかったからコブがこなしやすかったのかもしれない。
そして昨日、バンクーバーオリンピックの女子モーグルをTVで観戦。上村愛子さんは惜しくも4位。 彼女は栂池スキー場の隣りの白馬村出身だそう。彼女もあの栂池の馬の背コースを滑ったことあるのかもな。 今回の写真は、デジカメを海で落とした私を哀れに思ったヒロカズさんが私にくれたモノで撮りました。ヒロカズさん、バッチリ撮れました!感謝申し上げます。
(2010年2月14日 記)
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