2011/6/5、山梨と長野の県境にある金峰山(きんぷさん)にひとりで行ってきました。標高2360mの大弛峠(おおだるみとうげ)まで車で上がれるので、金峰山(2599m)まではそれほど登らなくていいコースです。
まずは車で大弛峠を目指します。私は大弛峠に行くのは1990年以来、実に21年ぶりです。
大弛峠へは、川上牧丘林道という道路を通っていきます。毎年6月1日に夏季開通するみたい(不確かです)。
(川上牧丘林道)
現在は大弛峠まで完全に舗装されていますが、私が1990年に来たときは、まだ舗装のされていないデコボコ道でした。
当時、私は大学の2年生で、前年の夏に免許を取ったばかりでした。そして1990年の夏、私の運転で家族4人でこっち方面にドライブに来ました。
当時の川上牧丘林道はけっこうな悪路でした。
私の運転もまだ不慣れだったのもあると思うのですが、後部座席に座っていた母親が、
「ウォウ ウォウ! 兄ちゃん!
ウォウ ウォウ! ゆれるね!
ウォウ ウォウ ウォウ!!」
と、バンピングしていたのを昨日のように思い出します。
そういや ブルーハーツをガンガンに♪ 鳴らしてたっけ♪
(今はすっかり整備された川上牧丘林道)
うねうねとくねる長い長い林道を走って、やっと大弛峠に到着。
路駐の様子
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ログハウス風のきれいなトイレもありました
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峠付近の駐車場はわずかなもので、そこに停められなければ手前の道路に路駐することになるのですが、ハイシーズンにはとんでもなく遠くまで車が並ぶんだろうと思いました。
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7時25分、それでは出発〜〜。 |
針葉樹の樹林帯。森の香りが清々しいです。高い山の上に来ないとこの匂いは味わえません。
ああ、今年も夏が来た。 |
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朝の森に漂う清冽な香り。その構成要素の一つが、木々の出すフィトンチッド。
樹木が自分の身を守るために出す、殺菌作用のある成分だそうです。
このフィトンチッドで、私の電磁波漬けで汚れ切った体も清めてもらいたい。 |
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それは、
「私たちの生活は、昔に比べれば格段に便利で楽なものになっているはずなのに、どうして相変わらず私たちの暮らしは忙しいままなのか?」
ということです。 |
そうですねぇ、電気も車も飛行機もない時代から見たら、もうまさしく昔の人が夢見たであろう時代に私たちは生きているわけです。
ですが、私たちの生活はいっこうに忙しさから解放されません。 |
(大ナギというポイント。この日はガスってほとんど展望はありませんでした。)
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(木々が枯れる「縞枯現象の林」) |
で、なんでそうなってしまうのかというと、いろいろ理由はあるのでしょうが、理由の一つとして挙げられるのが、
「行動が便利になってしまえば、便利になった分だけ行動範囲が広がってしまうから」
というもの。 |
そうですよねぇ、現にこの日こうやって山梨と長野の県境の山奥までやってきて山登りができるのも、車と整備された道路(と、あと、これが結構大事なカーナビ)なんかがあるからであります。 |
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こうした近代文明の産物である社会インフラが整っているがゆえに、容易に利用することができるがゆえに、私もこうやって遠くまで出かけてしまうわけです。
仕事や商売だってそうでしょう。どんな商売だってその範囲は事実上世界とつながっているわけで、その分関わりあう範囲や行動範囲が広がって、それだけ忙しくなってしまうわけです。 |
昔の行動範囲のままで、もし電気・ガス・水道といったものが整っているだけであるとしたら、それはやはり忙しさからは解放された日常になるのではないですかね。 |
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(この日見かけたのはこの小さな花くらいでした)
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でも、私の場合は「何もしないでいる」ということがむしろ苦痛な貧乏性で、結局あまりある時間ができれば何かしらやっちゃうんじゃないかと思うんですよね。家を直すとか庭の雑草をむしるとか絵を描くとか。
たぶんそうやって「ああ忙しい忙しい」というのでしょう。 |
だから、結局忙しさというのは、時代が進んだり社会インフラが整ったりすれば絶対的に軽減されるものではなくて、その人その人の性分や、心の持ちようや、生き方の哲学によるところも大きいんではないですかね。いつの時代だって、仕事はほどほど、余暇もほどほど、という選択肢だってあるわけでしょうし。
でもたぶん、私は死ぬまで忙しさから解放されることはないんだろうなという気はしています。 |
(樹林帯の終わりのところに結構残雪がありました)
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樹林帯を抜けたら直角に左に曲がります。山頂はもうちょっとです。 |
こんな穴をくぐり抜けたら、、、 |
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9時35分山頂。
抜け出たところが山頂でした。 |
そして山頂部に立つと、イヤでも目に入るのが、やや下部にある五丈石(ごじょういわ)。
左側の大岩が五丈石。右側の稜線は瑞牆山(みずがきやま)方面へ。
五丈石の近くに陣取り、お湯を沸かしてカップラーメンを。これがささやかな幸せ。
五丈石は、正面から見るとアステカ文明の神殿みたいに見えるのですが、脇から見ると実は案外うすっぺらい岩なのです。
正面から左側にまわって見た図。
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五丈石にチャレンジしている人たちがいます。誰でも簡単に登れるものではなくて、登れる人とダメな人に分かれる、素人にはなかなか難しい岩のようです。右上の写真Aのところから先に進むのが難しそうです。私は最初から全然登るつもりはありません。
と、
おおっ!(@@) ついに一人登頂に成功しました!
一帯で、時ならぬ拍手が起こります。
また、次から次へと登っていきます。
と、
おおっ!(@@;) 女の子も頂上に登りました!
う〜ん; ( ̄〜 ̄;)
最初はまったく登ってみるつもりなんてなかったんだけど、これだけ登ってんのを見せつけられると、自分も登ってみたい気がムクムクとわき上がってきます。
んで、ダメもとで登ってみることにました。
4分の3くらいはみんな登れるのですが、そこから先へ進めるかどうかで差が出ます。私もAのところまでは難なく行くことができました。
そのAポイントでは、高さ1m4〜50cmほどの手がかりのない岩をよじ登らなけなりません。ところが、そこをなんとか上がっても、今度は幅5、60cm(先に行くにしたがって1mくらいに広くはなっている)の細い回廊を10.mくらい歩かなければならないのです。右側はスッパリ切れ落ちているように感じられます。
私もAまでは行きましたが、右側が切れ落ちた細い回廊を見て、直感的に(こりゃムリだ)と感じ、さっさと引き返してきました。一応こんな私でも、まだいろいろ背負ってるものがあるので。
しかし、そのAポイントにさえ「うんこらうんこら」と苦労しながら後から上がってきた女の子は、私が岩を降りてしまった後に、くだんの難しいポイントをまた「うんこらうんこら」頑張って登ってクリアして、五丈石の上まで上がってしまいました。
すると、、、
「よっしゃあぁぁ〜〜!!」
と、金峰山山頂に響き渡る大声で、しかもガッツポーズつきで気合一発入れられてしまいました
(XX)ヤラレタ
「よっしゃあぁぁ〜〜!! よっしゃ・・・」 ↑ しかも、何発も入れられました。
こういうのが古来「うさぎとかめ」で表現されてるわけですね(高所恐怖症)。
不器用で、遅くて、要領が悪くて遠回りしたとしても、結局は長く続けた者が一番遠くまで行くのだというのを見せつけられた気がしました。
ここまできて五丈石に登らないで帰るのはなんか「登り切った」気がしなくて悔しかったのですが、やっぱり高所恐怖症の自分にはあの難所を行く勇気はなかったですね(悔)
クリアした人も言っていましたが、高度感さえ克服できれば、実際はそれほど難しい地形ではないと思うんです。でも、高いところが苦手な者にとっては、その高度感が何より難しいわけです。
なんだか不完全燃焼な気持ちを抱えたまま、来た道を戻って下山しました。
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大弛峠まで戻ってきました。
すぐ近くに大弛小屋があるので行ってみることに。 |
ログハウスの大弛小屋
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小屋前のテラスで一服
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ここから甲武信ヶ岳方面に行くこともできるのですが、6時間ほどかかります。
シャクナゲの群落のある夢の庭園というところは15分ほど。見ごろは7月だそうです。
大弛峠にいたタクシーの運転手さんに聞いたところ、塩山駅から大弛峠までは10500〜10700円くらいだそうです。大弛峠まで完全舗装になったのは7〜8年前で、それからはやはり来る人が増えたとのこと。
「あんまり人が増えちゃうと自然にも影響があるだろうし、良し悪しだねぇ」
とおっしゃるので、
「でもタクシー会社さんは儲かっていいんじゃないですか?」というと、
「まあね〜(笑)」
と笑っていました。
それではまとめの一句。
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