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子供と一緒に、北岳「高山病」敗退登山日記(2日目)

 

(山梨県南アルプス市)

 

当日のコース
北岳山荘→1時間20分→八本歯のコル→1時間→雪渓上部→40分→二俣→1時間30分→広河原バスセンター
休憩除く当日の歩行時間、約4時間30分

 


 

 

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2日目に通ったルート(Aポイントを迂回した青い線以外は1日目と同じです)

詳しいスクロール地図


サポートタイツ


ひざサポーター


登山用時計


登山用ソフト水筒


万能ナイフ


シュラフシーツ


トレッキングストック


ヘッドライト

 


スパッツ


軽アイゼン


山スカート、タイツ


ザック


アウタージャケット


コンパス


シャツ


登山靴・シューズ


フリース


トレッキングパンツ


サバイバルシート


雨具

 

 

 

 
 2012年7月30日(月)

 昨日の夕方昼寝から覚めて以降、頭痛が止みません。寝て起きれば治るだろうとタカをくくっていたのですが、夜中に目が覚めるたびに痛みは消えず、結局痛みを抱えたまま朝になってしまいました。山小屋などで眠れないときの対処法などをこちらのページにまとめてあります。

 息子も相変わらず前日からの頭痛が消えず、後頭部が痛いと言っています。

 私も時間が経つにつれ、だんだん気分も悪くなってきました (XX)ダメだこりゃ。

 

というわけで、親子2人で北岳山荘に併設されている、「昭和大学医学部北岳診療所」にお世話になることに。

すると、応対をしてくれた30代くらいの先生は、昨日登ってくるときに私たちと前後しながら歩いていたお兄さんで、私たち二人のことも覚えていてくれました。

そして、昨日からの行動内容などを話しました。

 

 やはり、前日に睡眠不足なのはよくないとのこと。私たちは4、5時間でしたが、やはり通常よりは少なかったのです。

 それから、アルコールやタバコはなるべく摂取しない方がよい。そして、水分は多めに取った方がよい。アルコールは脱水を促し、タバコは血管を収縮させるため、よろしくないとのこと。

 山小屋に着いたらすぐに寝ないで、おしゃべりなどして過ごすこと。空気の薄いところで寝てしまうと呼吸が浅くなり、酸素不足となる。

 ただ、高山病は体質や、慣れも関係してくる。屈強なスポーツマンの若い男性がゲロゲロ吐いたりする一方で、80歳くらいのおじいさんが何ともなかったりするとのこと。すいません、私も診察中にこらえきれずゲロってしまいました(恥)。でも、吐いたら楽になったし、診療所の方と昨日からの状況を話しているうちに、だんだん楽になってきた。

 看護師見習いのお姉さんに問診でやたらといろんなことを聞かれたのだけれど、たくさん話しているうちに空気も吸い込んで、それで具合がよくなったりする面もあるのかなあと思ったら、そのお姉さんも、「ここで話しているだけで回復する方も結構いますよ」とおっしゃっていました。

 そうこうしているうちに私はもうだいぶ回復してきたのですが、一応頭痛の鎮痛剤ももらって飲み、ほぼ回復。

 しかし、子供には痛み止めは出せないとのことで、息子は回復せず。でも、いろいろ診療していただき、安心できました。昭和大学の若い先生、研修医の方々、本当にお世話になりました。


 

 


 


お世話になった北岳山荘。小屋の方々、具合の悪くなった
私たちに温かく接していただいたご恩は決して忘れません。

私は朝食を食べましたが、息子はほとんど手をつけられませんでした。

お願いしていた昼食用の弁当をもらって、6時25分に北岳山荘を出発。もうほとんどの人は出かけてしまった後でした。

 

 

 
北岳山荘前より間ノ岳方向の眺め。ホントは今日は間ノ岳をピストンするつもりだったけど、完全に諦め。

 

 

 私 「おい、北岳登れそうか?」

 息子 「え〜〜; 絶対ムリ」

 私 「あぁ、そうか・・・」

 

 


北岳山荘前より日本第二位の高峰、北岳の眺め。山頂はすぐそこ。しかし、近くて遠い北岳の山頂・・・

 

 

 とりあえず歩き始めます。

 

         「どう? まだ頭痛い?」

         「痛いよ〜」

 

 

 昨日の後半と同じく、数分歩いては休みを繰り返します。

 


下界に湧き上がる雲を見下ろして歩く・・・

 

 息子の具合は一向に良くならず、もうどうにも北岳の山頂にはたどり着けそうもありません。

 高山病の特効薬はただ一つ、「下山すること」です。一刻も早く標高を下げれば、具合は必ず良くなるはずです。

 

「あ〜〜〜、キツイな〜〜〜」

「あともう少しで迂回コースだから、そこで登りは終わりだから、もうちょっとだけがんばれ!」

北岳山荘からやや登ったところに、迂回コースがあります。下の地図「2日目の迂回コース」です。

  

 

迂回コースの入口にやってきました。

相変わらず息子はキツそうなので、息子のリュックも私が胸に抱いて歩くことに。

 

 

「よし、もう登りは終わった。あとはだんだん下るはずだから。下れば絶対楽になるから」

「あ〜〜、なんでこんなに具合悪いんだろ」

 

 


数分歩くとダメになる息子。


がんばれ! ヨツバシオガマも応援しているぞ!

 

  

ハシゴの上り下りもつらそう。

 

 

この迂回コースというかトラバースコースが、結構アップダウンがあって、
 

「これで最後の登りだから、がんばれ!」
 

と言って一山越えるんだけど、また登りがあって;、みたいなことを何度も繰り返しました。


「また登んの〜?」

 

 

「もう迂回コースも終わりだから! 今度は下り始めるから」

「・・・・・」

 

 


このあたりから。左手の遠くには富士山山頂部がちょこんと。

 


右手に構えるのが日本第四位の高峰、間ノ岳。右端に北岳山荘の赤い屋根が見えますか?
 

 

 

 北岳登りたかったなあ。

 

 

でも、やっと迂回コースも終わった。今度はどんどん下るぞ!

 

 

湧き上がる雲と間ノ岳をバックに。

息子のザック抱えてます。

 

 


八本歯の頭が間近に迫ってきた。


ハシゴを慎重に降りる。ここを降りたら八本歯のコルだ。

 

 


やっぱダイナミックだわ、北岳バットレス。写真じゃあの雄大さはちっとも伝わりませんね。
ぜひ現地でご自分の目と五感で空気感を味わってみてください。

 

 

 

 

 


  八本歯のコルに着きました。結構下っては来ましたが、まだ息子は調子悪そう。具合が悪くなり始めたのもここから雪渓の間です。

 雪渓あたりまで行けば回復してくれるのではないかと思うのだが・・・


(八本歯のコルの道標)


疲れただけでこんな風になることはないはずなんです。
本当にキツかったんだと思います。

 

 

「ほら、ここからもグングン下るから、もう少しだ。がんばって」

「うん・・・」

 

 

数分歩くと休憩を何度も何度も繰り返し・・・

 

 

眼前に広がる、山々の上に湧き上がる雲。

夏だなあ。

八本歯のコルからは、急激に標高が下がります。

 

  


そびえ立つ北岳バットレスを見上げる。昨日はこのあたりから具合が悪くなり始めた。

 

 

昨日具合が悪くなり始めたゾーンを通り抜けると、休むことも少なくなってきました。

「どう? 具合よくなった?」

「もうちょっとかな」

 

 

雪渓の最上部に出ました。

昨日は大勢の登山者が休んでいましたが、今日は月曜日ということもあってか、時間のせいか、ほとんど人がいません。

 

 


アイゼンは持っていませんでしたが、ストックがあれば歩きやすいです。

雪が靴の中に入ったりするので、スパッツがあれば、そういうことを防ぐこともできますね。

  

 

標高も下がったからか、だんだんと調子の出てきた息子。

しかし、この雪渓の下りで、私も息子も1回ずつ滑ってコケました。お気をつけ下さい。


 

 


トレッキングストック


軽アイゼン


スパッツ(ゲイター)

 

 

二俣に到着。

  

 

 

 

  

二俣で休憩している間に息子もだいぶ回復してきた模様。

よ〜し、あと少しだ、がんばろう。

 

 

息子よ、ゲームのRPGやドラクエも面白いだろうが、本物の冒険はもっと危険でエキサイティングなことがわかっただろう。

 

 


このあたりの林の中で見つけました。ハートの葉っぱはマイヅルソウ、とがってるのはたぶんヒカゲノカズラ。
北岳山行直前に行った、
縞枯山の山麓の森の中でも同じ組み合わせを見ました。

 

 

昨日、このあたりで休憩していると、登山者のおじさんが、

「こういうところは上から落石があるかもしれないから、休憩しない方がいいよ」

と教えてくれました。

確かにこんな地形のところは落石もありそうですね。勉強になりました。

 

 

今回はこんなカッコで行ってきました。サポートタイツのサポート力は素晴らしいですね。私は長時間の山歩きには欠かせないアイテムとなりました。履いてる人も多かったです。


サポートタイツ

 

  

今となっては後の祭りだが、思い返せば息子が「頭が痛い」と言い始めた時点で、本来は下山すべきだったのだと思う。

今回は大事に至らなかったから良かったものの、いつも無事とは限らない。これははっきり私の経験不足であり、猛省しているところであります。

 

 

広河原山荘まで戻ってきました。

北岳はまた我らの挑戦を受けてくれるよ。

 

 そして広河原のバスセンターに無事到着。

 

さあて、乗合タクシーの出発まで、昼飯を食べてしまおう。北岳山荘の弁当です。鮭の切り身を一口頂きます。

うん、うまいですね。

この鮭くん(ちゃん?)は、川で生まれて、大海原で育ってまた川に戻ってきて、それから今度は北岳を登ってまた下りてという、実に壮大な旅をしたのだね。

ありがとう、美味しかったよ。

 

 

 

 

 最後に、この年の秋に息子の中学校の音楽祭で歌われた「雲の指標」という曲が素晴らしかったので、ここでご紹介させていただいて締めくくりといたしたいと思います。

 山を愛する人なら、この歌の雰囲気はきっとよくわかっていただけるのではないかと思います。
 



(画像は岩手県の女神山、早池峰山などだそうです)

「雲の指標」 歌詞
作詞:吉井奈緒子  作曲:鹿谷美緒子

緑深き山 近づく頂
雲よ 大空の
大地を見下ろす高みへと
雲よ 連れてゆけ 私を

ふるさとは はるかに広がる
どこまでも 峰は続く

高鳴る鼓動 巻き上がる風に
生きてることを かみしめる
ふりそそぐ光 わきあがる希望
遙かめざして ゆくのだろう

汗をぬぐう道 息づく命
鳥よ 風になり
はるかに広がる雲の海
鳥よ とんでゆけ 自由に

ふるさとは はるかに広がる
どこまでも 君と歩く

高鳴る鼓動 巻き上がる風に
生きてることを かみしめる
ふりそそぐ光 わきあがる希望
遙かめざして ゆくのだろう
ふりそそぐ光 わきあがる希望
遙かめざして ゆくのだろう
Ah- Ah--

  


もうすぐそこだったけど、届かなかった北岳の山頂。

 

 

 

 この北岳山行のあと、帰ってきていろんな人に「高山病で山頂まで行けなかった」という話をすると、
 

 「サマーレスキューですね(笑)」

 
 と、数人の人に言われました。どうやらこの夏に、山岳救助のドラマをやっていたらしいのです。

 しかし、私はテレビは見ないので、ドラマのことは知りませんでした。 図らずも、サマーレスキューを実体験するハメになったようです。

 

 中二の息子と北岳を目指したけど届かなかったあの夏を、私は一生忘れることはないでしょう。

                                                          

         子供と一緒に、北岳「高山病」敗退登山日記 〜 END

 

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